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♪ ゼロ・エミッション

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第3章 宙吹き成形

『♪第3章 宙吹き成形』

一般的な家庭用・業務用ガラスコップや飲料のビンなどは、ガラス生地を「型」に流し込みプレス成形する。機械による量産が可能だからだ。しかしガラスの組成にまでこだわったクリスタルガラスは(意図的に型で模様をつける場合を除いて)決してプレス成形をしない。ガラスが高温のうちに型に押し当てることにより表面に凹凸や歪みが出来てしまい、せっかくの表面の平滑性が失われ、透明性が失われるからだ。

ではどうするか。宙吹きで形作る。吹き竿(金属パイプ)の一方に融けたガラス生地をつけ、もう一方から「息」を吹き込み、ガラスを膨らます。ガラスは冷えるまでの間は水飴のように柔らかいので、常にパイプを回しながら作業しなければならない。数分で温度が下がって固くなると、再び火に入れて繰り返し成形する。もちろん素人が真似できる芸当ではない。

 熟練した職人はこの宙吹き作業を見事に体得している。単に器の形に膨らますだけでなく、息と遠心力でガラス形状や厚みをコントロールし、規格寸法通りに仕上げてゆく。ワイングラスのような縁の薄い器も、花瓶のように厚みのある器も。繊細さと大胆さと思い切りの良さが決め手だ。

 良いクリスタルガラスのポイントは、泡や筋が混入していないこと。特に無色透明のグラス類ではこの欠点は致命傷だ。<カガミクリスタル>社では目に見える泡があれば、それは商品にしない。割ってまた窯に投入し、原料として再利用する。

もう一つのポイントはやはりその形。グラスの形状の良さはこの時点で決定される。グラスの用途によって、薄く吹かれたもの、分厚く吹かれたもの、それぞれの持ち味が決定される。鉛ガラスゆえのその重量感、重量バランスにも気をつけよう。またハンドメイドであるが故に、同じ規格寸法の製品でも個性を持つ。同じセットのグラスでありながら、手にした感じでなんとなくしっくりくるグラスに巡り合うかもしれない。

最後に、宙吹き作業は誰でも一度は体験してみたいと思ったことがあるでしょう。しかし高温のガラス窯付近での作業は見た目以上に過酷な職場です。

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